空から雨が降る日。【完】
「…お茶で、平気?」
「あ、…うん」
朝から涙を流していた私はすーっと手で涙を拭きとりキッチンへと向かう。
一番上の棚に入っていたお客様用のコップを取り出して、冷蔵庫からお茶を取り出し注ぐ。
久しぶり、だな。
こうやって誰かに飲み物とかを出すのも。
空雨がまだいた時はよくこうやって空雨専用のコップに飲み物いれて出してたっけ…。
ふと思い出してまた、顔が沈む。
「はい、どうぞ」
だけどすぐに顔をあげてソファに座っていた優子にはい、とコップを差し出す。
「ありがとうね」
優子は私の手からコップを受け取ると一口、ゴクンと音を立てながら飲んでじっと私を見る。
「…ゆう「ねぇ、雫」
名前を呼ぼうと思った途端それは優子の声によって遮られていて。
「…ん?」
私は小さく、冷静な声で返事をした。