空から雨が降る日。【完】
『私、なにがいけなかったかなぁ…』
そう言って苦しそうにいつも涙を流す。
恋、なんて苦しいだけだ。
そう思っていた私は優子の背中を擦ってあげることしかできなくて。だけど、優子は恋が苦しいだけだなんて思っていなかった。
『私ねっ好きな人できた!』
別れて数ヶ月でできた好きな人。
私はまたか…と最初の頃は思ってはいたものの、
『振られた…』と相手を思って涙を流し、『好きな人ができた』と相手を思って笑みを零す。
そんな優子を見るのが今は楽しみになっていて。
何事も前向きに、一生懸命で優しい優子が傍にいたから
…空雨が死んで一人ぼっちだった私も、笑うことができたんだ。
『私はねぇ…』
『中学の時には~』
『高校ではさ、テニス部に入ってて!』
『後輩君がね…?』
『てかこの前の合コンでさ―…』
何一つ、隠さないで私に全てを打ち明けてくれる優子。
あぁ…そうか、私は。
「ごめん…っ優子」
涙を流す、優子に抱き着き震えた声で謝る。
「ごめんね…っ、」
私は優子に何一つ、話していなかったんだね。