空から雨が降る日。【完】


『…で?』

『で?』

『そいつどうなったの』

あぁ、忘れてた。
と、思い出し今日のその男の子の話を続ける。

『幼馴染の子に告白してたんだよ。凄いよねその勇気』

『すげーな、確かに』

その男の子は、違うクラスにいた幼馴染の子が好きで告白するとお昼休みに決め伝えに行っていた。
それをみて、凄いな。と心が動いたのは確か。

幼馴染から、恋人に変わるのがどれだけの勇気がいることか。
…幼馴染を好きだから、わかる。

普通に告白するのも凄い勇気がいることなのにたった一言“好き”を伝えることはどれだけ大変なことなのか、わかるのに。

それを家族のような存在で、いつも一緒にいた幼馴染に伝えること。

それが怖くて苦しくて、今にも心臓がでるんじゃないかって家族の関係さえも壊れたらどうしようって不安を持ってることが痛いくらいにわかるから。


『俺…っ!』
そういって笑顔で入ってきた男の子を見て、私も笑顔になれたのが嬉しかった。

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