空から雨が降る日。【完】


『へえ、じゃあうまくいったんだ?』

『そう!凄いよね。彼氏彼女だよ。もうそんな年なんだねぇ…』

『なに?雫好きな奴、いんの?』

『えっ…そ、そりゃ、…いるよ』

その男の子は凄い。
だってすべての不安を蹴り飛ばして気持ちを伝えられたんだから。


でも、私は―…

『へえ、いるんだ』

『なにさ。だめなの?』

『んー?別にいいんじゃない?雫も女だもんな』

女。
そうだよ。私は女。
家族じゃない、一人の女の子なんだよ。

『空雨は?…いるの?好きな子』

『俺?』

『前彼女は作らないって言ってたけどさ、好きな子くらいは?いないの?』


―いつなにが起こるかわからないか―

それが前に空雨が言っていた、彼女を作らない理由。

確かに彼女ができて空雨に身体の異変があったりしたら彼女が可哀想なのはわかる。いきなり…だったりするから。
だけどだからといってそれが空雨の恋をしない理由に繋がるとは思えないし。

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