空から雨が降る日。【完】


『好きな奴ねぇ、…いるよ』

『え』

『なんだよその顔』

『…べ、別に…』

い、いるんだ。
はじめて聞いた。
彼女を作らないのは知ってたから、ホッとしていたけど…まさか、好きな子がいるなんて。

そんなの、そんなの。


『あ、私花瓶の水変えてくるよ』

『えっ、あ…あぁ、頼むわ』

聞きたくない。
私は部屋にあった花瓶を持って外に出た。

空雨が彼女を作らないのなら一番近くにいる女の子は自分だ。
だから、

空雨が病気でよかった。

そう思ったときも、あった。
だけどそう思うたびに自分が嫌いになる。そんなこと考える自分が、嫌で嫌で消したくなる。消えたく、なる。

だからかな。罰が当たったのかな?

空雨に好きな子がいる。
それはいつ、空雨が彼女を作ってもおかしくないと言うことで―…

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