空から雨が降る日。【完】


『外は今日も、雨なんだな』

『うん、そうだね』

『俺、雨は嫌いだな』

『どうして?』

『自分の心の中みたいだから』

『え?』

『土砂降り。俺の心みたいだ』

そう言った空雨の言葉の意味はわからなくて。

私は花瓶を置いて空雨と共に外を見た。


『でも、私は好きだな。雨』

『え?』

『だって、空雨が傍にいるみたいだもん』


たとえ、一緒にいれなくても。

学校に一緒に行けなくても、何をするにも一緒だった空雨が今は傍に居なくても。

その日が雨なら、あぁあなたがここにいる。そう思えるから。

だから


『私は、雨が好き』


天気の中で、私は“雨”が、一番好きだ。

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