空から雨が降る日。【完】



『お前変わってんな』

『えっ』

『雨だったらどこもいけねえぜ?つまんねーことばかりじゃん』

『なんで?一緒にいられるよ』

『は?』

『雨だったらその分一緒にいる時間が増える。ね。楽しんでしょ?』

晴れてたら、どこかへ行ってしまうから。
走り回ることが好きな空雨は、どこか私を置いて行ってしまうから。
傍にいる時間、それが私には大事で、嬉しいから。


『やっぱ…適わねえな』

『え?なん…『雫』

ボソッと呟いた声が私には届かなくてもう一度聞き直そうとした。

その時―…


名前を呼ばれ、ぐいっと私の手首を空雨が掴んでいた。


『空雨…?』

どうしたの?と声を出す。だけど目の前にいる空雨は無言で。俯いていて。


やっと顔をあげた。

その瞬間、

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