空から雨が降る日。【完】
『俺、雫が好きだ』
私と空雨しかいない。
二人きりの静かな病室。
外は雨がザーザーと降り注いでいる。
耳に入ってくるのは窓にボタっと当たる雨音だけ。
シーンとしているその部屋中に、空雨の声が響き渡った。
『…え?』
『お前が好き。昔から、ずっと』
『う、…そ』
『嘘じゃねえよ。ずっと好きだった。
隣で笑っている雫も、一生懸命悩んでいる雫もばかみたいなことしている雫も、俺のことで泣いてくれる雫も全部、好きだよ』
それは、夢みたいな言葉だった。
あるわけない、そう思っていた。ずっと望んでいた言葉で。
だけど―…
『わた…、』
私も好き。
その言葉だけが、喉に突っかかって出てこなくて。