空から雨が降る日。【完】
「私今まで、雫に酷いことばかり言ってたね」
「…優子?」
「恋をしろ、とかさ…。そんなの…雫はちゃんと心の中で恋、してたんだね」
「ゆう…」
「ごめんね雫」
「そんな…、」
「忘れなくていいんじゃないかな。…私はさ、良いことなんて言えない。私だって全然大人じゃないし恋愛マスターなわけじゃない。だけど、忘れなくていいと思うんだ。」
「え…?」
「雫はさ空雨くんのこと思う度にずっと苦しいと思う。怖いと思う。
雨が降ってそれを見る度にその人のこと思い出すと思う。だけどそうやって思い出すってことは、謝る、より大きなことだと私は思うんだ。」
「…、」
「忘れなくていい。ううん、忘れちゃダメなんだよ。それは、彼のために。だけどさそれを少しずつ、少しずついい。雫の中で良い思い出に変えていこうよ。私もいる。もう一人じゃないじゃん」
優子はそう言うと、続けて言葉を発した。
「だって、雫と彼の思い出はそんな苦しいことばかりじゃないでしょ?」
その瞬間優子がいったその言葉に、俯いて伏せていた顔が、上がった。