空から雨が降る日。【完】



あぁ…そうだ、そうだよ。その通りだ。

私と空雨の思い出は…記憶の中にある思い出はそんなに苦しいことばかりじゃない。

涙したことも多かった。だけどその分笑顔の二人もいた。

私の中にある空雨との思い出は、涙ばかりじゃなかった。


「吾彦さんのことはさ、ちゃんと謝ろう?」

「あ……」

「私も一緒に行くから。ね。仕事やプライベート、会うのが怖かったら私も一緒に行く。わざわざ吾彦さんと彼の関係を知らなくてもいい。もうこれ以上自ら苦しまなくていいよ、雫」

「だけ、ど…っ」

「いつか自然に笑って恋ができるように、空雨くんとのこと前に進めるように。私がずっと傍にいるから」

ぎゅっと私の手を握り、流していた優子の涙は誰よりも美しく綺麗で。

あぁもっと、もっと早く話せばよかった。
怖がっていないで自分をちゃんと出しておけばよかった。

友達。
それは昔から私には空雨しかいなくて。だからどうやって作ればいいのか接すればいいのかわかんなくて。

だけど、こんなにも簡単なんだ。
バカだな…私。もっと早く気付けばよかったのに。

私は優子の手をぎゅっと強く、強く握って今にも消えそうな声で「ありがとう」と囁いた。

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