空から雨が降る日。【完】
「うわぁ…可愛い」
空雨が選んだその服は、私がいつも着ない、というか自分では選ばないワンピースで。
「さっすが雫のこと好きだっただけあるね」
「え?」
「ちゃんと雫に似合うものわかってる」
「そ、そうかな…。
でもこれ選んでくれたの中学の時だよ?その時はまだ空雨は…」
私のことなんて好きじゃなかった、はず。
だから、似合うとかそんなの考えてなかったと思う…けど、
「でも、そうだったら…いいな」
不意に零れた。
「そうそう。その調子だよ。大丈夫、雫が笑顔でいれば彼も笑ってくれてるよ」
「そう、かな」
そう言えば私はここ最近どんな表情をしていたんだろう。
怒ってた?泣いてた?笑ってた?
…覚えてないな。
だけど、苦しかった時は多かったけど泣いてはなかった。
それは、なんで?
『雫』
ああ…そうだ。いつも、傍に晴太がいたから。