空から雨が降る日。【完】
『やだよあめ…っ!いかないよ!』
連れてこられたのは、お風呂場で。
空雨も知っていたんだ、あの噂を。
『いやだいやだ…っ!』
怖いものが、大嫌いな私と、怖いものが大好きな空雨。
今までだってこうやって空雨に無理矢理連れてこられて大変な目にあった。のに…こいつは、また…!
『いいから!しずくはおれのうしろにいればいいよ!』
なら、連れてくんなよ、と言いたかったけどその空雨の背中からワクワクしているのが伝わってきて。
『ぜったい!…お…おいていかないで、ね』
私はぎゅっと背中の服を掴んで、空雨に着いて行った。
二人して仲良く、お風呂に入る。
怖いのにお風呂にも入るのか、と思ったがお風呂に罪はない。
はぁ…とため息をつきながら身体を伸ばす。
『ちぇ、なんだいないじゃん』
やっぱり。
泣いている子を探しに来たんだ。
そう思ってまた、ため息がでる。
『なんだよしずく』
『べっつにぃ。ねえ、もうでよ?おかあさんたちしんぱいしてるかも…』
『だいじょうぶだよ、おさけのんでねてるんだから』
『で、でもさぁ…』
お風呂に浸ってはいるけどやっぱり怖い。それが正直な感想だった。