空から雨が降る日。【完】



入っている中で、まだ泣いている声とかは聞こえてはこないけど…いつそれが起きてもおかしくないわけで。
だって、今までに体験してる人だっているわけで…!
なら安全な今のうちに帰りたい!帰りたいよ!

私は空雨を腕をねえねえと引っ張る。

『だいじょうぶだよ。もうでないから。うわさはうわさだ』

どっからその自信が出てくるのか。
不思議に思いながらも伸びをしている空雨につられて私も渋々身体をお湯に預ける。

『おんせん、きもちいね』

『でも、ゆきふってるね』

『でもきれいだよ、ほら』

空雨は、小さい頃から天気が悪いのが好きじゃないためか雪までも嫌っていた。
私は積もっていた雪を取り、空雨のとこへもっていこうとした。

その時だった。

『ねえ…これ…』

どこかで、聞こえる、小さな子の泣き声みたいな音。

『…っあめ…っ』

私は怖くなってバシャン!と音を立ててお湯に浸かった。

『だいじょうぶ、だいじょうぶ』

震えている私の肩を抱いて、自分も震えた声で私を守る。

だけど、怖くて怖くて、涙が溢れる。


< 180 / 311 >

この作品をシェア

pagetop