空から雨が降る日。【完】
「美味しいです」
久しぶりに口にしたココアは、凄く美味しくて…自然と、ニッコリと笑みが零れる。
「…よかった。昨日吾彦さんが心配してたから」
「え…吾彦さん、がですか?」
「あぁ。会議が終わった後、聞きに来ててね。優子ちゃんのことも探してた」
あー…そっか。
私が優子と仲良いの知っているから、様子を伺いにきていたんだ。
「すみません!ご迷惑ばかりかけて…」
「そんな。全然気にしてないよ。悩みは若さの特権だから」
「え…?」
上司はそう言うと自分で買った缶コーヒーを開けてグビッと飲み始める。
「俺には、なにがあるのかはわからないけどさ。星埜悩んでそうだったから。出会った時からずっと」
「あ…っ」
まさか、気が付かれていた、なんて…
「だけど吾彦さんと仕事を共にしてからちょっとずつだけど星埜変わった気がしててさ」
「え…?」
「まあわかんないけどな。それは。でも、悩みがあるのならいっぱいいっぱいまで悩めばいい。それは今のお前にしかできないことだよ」
上司は私の頭にポンッと自分の手を置き笑う。
思えば…
はじめて、みたかもしれない。
上司の笑顔。