空から雨が降る日。【完】


「お、連絡取れたのかそこと」

書いていた私の後ろに上司はすげえじゃんと言ってポンポンと撫でてくれる。

「…ありがとうございます」

少し照れくさい。
頭を下げて顔が見えないようなところでお礼を言う。

「あ、じゃあ――会社にも伝えておかないとな。一緒にやる企画だろ?」

「あ、はい。…あ、」

「ん?」

何かを思い出したかのように、あ。と呟いた私に優しく振り向く上司。

そして

「私、今日はる…吾彦さんと会う予定があるので、その時に伝えておきます」

来週の水曜日。
新しい取引先もいれて一緒に企画を進めるのに晴太の会社も入っている。

私がそういうと、優しい笑顔を向けて上司が

「じゃあ、頼んだ」

といい、自分の席に着く。

まだ全然できない私をこうやって褒めて、のばしてくれる。
それは上司だからしてくれることで。

私はそれが嬉しくてふふふと笑みを零す。


だけど、この時はまだ気づかなかったんだ。

その後起きる大きな事件に―…

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