空から雨が降る日。【完】



「今日は企画の会議でしょ?
なら、別に進めていても悪くはない。
向こうは向こうでしっかりとした企画を立ててくる。
並べられように、考えちゃいましょう」

といって鞄から資料を取り出す。
私も上司もなにも言うことができずただぼーっと突っ立っているだけ。

みんなも何も言わず―――…

「仕方ねぇな~まあ、雨の中わざわざ来たんだしね。考えましょ」
「そうだな。向こうがビックリするようなの考えよう」
「あ、星埜さんコーヒーって貰える?」

みんな、晴太に続いて資料を取り出す。

「あ…え、あ、はいっ!今すぐ…っ」

上司に背中を軽く叩かれはっとし、その場から駆け出しコーヒーを淹れに行く。


怖い。
最悪だ。もうむりだ。苦しい。逃げたい。

そう思った。


なのにたった一言。晴太のあの声に私は救われて―…



「雨…」

また“雨”のことを嫌いになりそうだったのを、晴太が…救ってくれたんだ。
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