空から雨が降る日。【完】
「…はるった!」
エレベーターの前に立っている男性。
私は息を切らして名前を呼んだ。
それに気が付いてゆっくりと振り向く彼。
「あ…。」
名前で呼んじゃった。
私はそのことに気が付いて、はぁはぁと息を吸って吐いて落ち着きを取り戻した。
「あ…っ、吾彦さん、本当にありがとうございました!」
また勢いよく、頭を下げる。
「え…」
困惑している晴太。だけど私は頭はあげなくて。
凄い人、なんだ。晴太は。
私と違って色々な人から信頼を持っている。
そんな人が次に大きな仕事に関わると言っている。
素直に、応援できなかった自分が恥ずかしい。
今まで馬鹿みたいに空回ったテンションでいたのが恥ずかしい。
「…これからも、頑張って」
エレベーターが来る。
チンとなった音と共に開く。
私は、晴太に精一杯の笑顔を向けて、微笑んだ。