空から雨が降る日。【完】



「どういうこと?じゃあ吾彦さんも病気で入院していたってこと?」

「ううん、わからない。だけどね思い出したの私」

家までの道を歩いていた時に微かに思い出した記憶。

それは、
私と空雨の横にあの頃もう一人…けがをしていた男の子がいたってこと。

「それが晴太だったかは思い出せない。だけどあれがもし晴太だったら。私…」


きっと恨まれている。

あの頃空雨はよく、色んなことを話せる奴ができたんだって喜んでいた。
だとしたら、きっと晴太だって友達ができたことに喜んでいたはずだ。

あぁ私が空雨を殺したこと…晴太は知っていたんだ。

そう思うと、目が熱くなっていった。


「晴太は…っ私を恨んで、…っ近づいてきたの、かな…っ」

最初は怖かった。
だけど徐々に晴太の優しさが見えてきて。

“会わない”
そう言われた時には寂しいという感情が生まれた。


だけど晴太は違ったんだ。

晴太は私のことを恨んでいたから、だから―…

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