空から雨が降る日。【完】
「じゃあなんで、あんたから離れて行ったの?」
「…え?」
「もし、吾彦さんが雫のことを恨んで近づいたとする。だけどそれはなんで?
なにかするために?でもなにもしていないじゃない。むしろ、吾彦さんはあんたから離れて行った。
…じゃあそれはなんで?」
優子が放つ言葉に頭が思考停止する。
なんで?
うん。…なんで?
…なんで、だろう。
確かに晴太に傷つけられた、ってことはないし何もされていない。
勝手に空雨を思い出して苦しんでいたくらい。
あれ?でもなんで?
私晴太といた時、空雨のことを思い出して苦しかった。
だけどどこか、暖かい気持ちがあった。
それは―…
「質問を変えるね。
雫、あんたはなんでそんなに泣いてるの?」
優子は私の目をじっと見て、言った。