空から雨が降る日。【完】



空雨がいなくなって、必死で探していた。

なにを?

…“友達”を。

だけどどこにも…一人も、いなくて。
あぁ、空雨は凄いなって思った。
だって私が見る景色をすぐに変えることができるんだから。

生きていた時、空雨といると色んな色、カラフルに見えていたものが、
いなくなった瞬間、白黒へと変わった。

白黒の景色のまま生きていた時、ふと、色が混じっていたのに気づく。


それはあの日、晴太と出会ったあの瞬間。


私の景色に、色が戻ってきたんだ。


そっか、そうなんだ。

これは全部、空雨。

あなたが運んできてくれていたものだったんだね。



晴太は、怒っているかな。
私のことどう思ってるかな。

友達だって、思ってくれて近づいてくれたのかな。


知りたい、知りたいな。
晴太のこと晴太が知っている空雨のこと、知りたい。

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