空から雨が降る日。【完】
空から空雨が降る日。



走って走って、ただ無我夢中で走り続けた。

携帯も鞄もない。
連絡も取れない。
どこにいるのかもわからない。

だけどそれでも会いたくて必死に走った。

逃げたくない。
話したい。

ちゃんと、知りたい。

その想いだけを持って走った。


そしてふと思いたった場場所に着いた先で、
椅子に座ってビールを片手に枝豆を頬張っている男。

あぁ…

「…いたっ」

それは紛れもない、探していた、…あいつで。


「…晴太っ…!」

ガラっとお店のドアをあけて名前を呼び、彼に駆け寄った。
< 268 / 311 >

この作品をシェア

pagetop