空から雨が降る日。【完】
空から空雨が降る日。
走って走って、ただ無我夢中で走り続けた。
携帯も鞄もない。
連絡も取れない。
どこにいるのかもわからない。
だけどそれでも会いたくて必死に走った。
逃げたくない。
話したい。
ちゃんと、知りたい。
その想いだけを持って走った。
そしてふと思いたった場場所に着いた先で、
椅子に座ってビールを片手に枝豆を頬張っている男。
あぁ…
「…いたっ」
それは紛れもない、探していた、…あいつで。
「…晴太っ…!」
ガラっとお店のドアをあけて名前を呼び、彼に駆け寄った。