空から雨が降る日。【完】



『空雨とは俺が骨折して入院してた時に出会ったんだけどさ。
よく三人で遊んでたりもしたし。覚えてない?』

晴太からの問いかけに少し…と答える。

『はじめて会った時、お前は俺のこと覚えてなかったもんな。でも俺は覚えてたよ。手紙もあったしね』

『あ、そうだよ手紙。なんですぐに渡してくれなかったの?』

『そりゃ―まあ…俺を見てほしかったし?』

『は?』

『いや、なんでもない』

晴太のボソッと言った声は私には届かなくて。


『お前が苦しむはいつも空雨のことだったから。

きっと、俺といても空雨を思い出すんだろうなぁて思って雫から離れた』


『じゃあ、大きな仕事を任されたって話は?』

『全部、嘘。ごめん』

『なにそれ…っ最低!』


バシバシと晴太を叩く。

最低。
そんなの私が言えることじゃない。

晴太は私を思ってやってくれたことだもん。

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