空から雨が降る日。【完】
「雫はもう恋しねえの?」
「え?」
急に聞かれた言葉にビックリして晴太の方へ振り返る。
「んー…別にしないわけじゃないけど。
空雨の手紙にも前を向けって書いてあったし。まあいつかはできたらいいなとは思ってるよ」
顎に手をあてて、悩みながらも返すと晴太は私に近づき、その手を取ってぎゅっと握る。
「…晴太?」
またお酒が入ってるから…なのか。
晴太の様子がおかしい。
「ちょっとーお酒飲みすぎなんじゃないの?…ねえ、聞いてる?」
声をかけても伏せて顔が見れない。
おーいと、声をまたかける。
そして無理矢理手を離そうとすると、ゆっくり上げた顔で目を目がばちっと合った。
「はる、た?」
「考えといて、雫」
「え?」
「恋人候補。考えといてよ」
「え、ちょっと…なにいって、」
「本気だからさ」
といってもっと強く私の手を握る彼。