空から雨が降る日。【完】



「ままぁ…」

「…あ、おはよう。空(ソラ)」

ジューと焼かれていた目玉焼きの音に起きたのか目を擦りながら私に近寄ってくる小さな身体。


「ん…ごはん?」

「そうだよ、朝ごはん」

「めだまやき!」

「そう。空の大好きな目玉焼き」

近寄ってきた小さな身体を持ち上げて、片手ではフライパンを動かす。

「やったやった!めだまやきだぁ!」

「じゃあ空、パパ起こしてきてくれる?」

「うん!パパ―!!」

私から下りて寝室へと走って行く。
空の大きな呼び名とともに聞こえてきたのは、ぐはっとなにかにやられたような声。

そして、

「まま!ぱぱ起きたよ!」

「ん、ありがとう空。

おはよう…晴太」

部屋から出てきた寝癖のついている愛しい彼に、笑みを浮かべた。
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