空から雨が降る日。【完】



優子はいつだって、出会いを探して恋をしている恋多き乙女だ。

そんな優子を見ていて不快になんて思わないし、むしろ可愛いなぁと思ってる。


…私はもう、そんな経験数年もないから。



かぼちゃのてんぷらを口にした途端、ずっと私を見ていた優子と目が合う。

「…なに?」

がぶっとかぶりつき、お茶を飲んで優子に声をかける。


「ねえ、なんで雫は恋をしないの?」

それは、突然の問いかけだった。


「…え?」

「だって雫可愛いし、モテるじゃん。うちの部でも雫狙ってる子多いよ?」

優子はおそばを啜りながら話を続ける。

私はその返事ができなくてただニコリを笑うだけ。
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