空から雨が降る日。【完】
「よろしくお願いします」
昨日とは違う。
今は仕事だ。
私は何事もなかったかのように手を差し出す。
それに彼を合わせて手が伸びてくる。
そして握られた瞬間、くすっと声が聞こえばっと顔をあげた。
「…」
なにか言ってやりたい気持ちは山々だったが、流石に隣に上司はいるしお偉いさんもいる。
何も言えない私はぐっと手の力を強くする。
「いてえよ」
彼はくすくすと笑いながら私を見る。
私はすみませんと返し手を離そうとした…が、
「あの?」
声をかけてもなかなか、話してくれない手。