Bandやろうゼ♪
立ちはだかった男が、
呟いた。
「ダイヤの原石、
ここにいたか」
(え?…誰?…何?)
藍たちは五人とも、
不思議に その男を見る。
男は、ニヒルに微笑んで言った。
「腕はまだまだだが、
原石だ。ぃいものになる。
君たち、デビューしないかい?」
「えっ?」
思わず聞き返した藍の肩に手を置いて、
男は言った。
「ただし、
条件がひとつ。
このバンドは、君だけが女だな?」
言われて驚き気味な 藍(アイ)。
凛(リン)は隣にいる要(ヨウ)に小声で言う。
「何でわかったんだ?
このオッサン」
「さぁ~。
初対面は大概、"男の子"と間違えるのにな」
男を不思議そうに見る要(ヨウ)。
響(ユラ)は、キョトンと見ている。
麗(レイ)は、一方下がった場所から、慎重な眼差しで男を見ている。
男は、そんな五人をそれぞれに見ながら言った。
「俺は、男バンドがほしい。
男バンドとして、やってほしいのだよ。
だから、条件は、
『君が、女だと
決してバレてはいけない』
これが、条件だ。
条件は、これだけだ。
これさえ必ず守り通してくれたら、
他は何をしても構わない。
どんなパフォーマンスも構わない。
君たちの自由だ」
「自由にやらせてくれる」
「お、おいっっ」
思わず呟いた要を凛が制す。
「そうだよ。
自由に発揮してくれ。
一緒にデビューへ向かって行こう。
どうだい?」
笑顔で語りかける男を見つめながら、
藍(アイ) 麗(レイ) 凛(リン) 要(ヨウ) 響(ユラ)
それぞれの心に
『デビュー』
の文字が浮かんだ。
希望を予感させる
鮮やかな 色で
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