月が綺麗ですね。
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そしてそして、お約束の17:30
今度ばかりは、さすがに遅刻はしない。
少し早い時間に来た。
はずなのに、椎名くんは先に来ていた。
でも……寝てる?
フェンスに寄りかかって寝ていた。
栗色の髪が、今日もふわふわ風に揺れている。
起こした方がいいよね?
でも、どうやって起こそう…
眠り姫的な感じで、口づけ??
いやいや、それは血迷い過ぎ。
「椎名くーん?」
トントン
「ん~……」
「もうそろそろ17:30ですけどー?」
「あ……?」
少しずつ、長い長いまつ毛の向こうに、綺麗な榛色が覗いた。
眠り浅い…?
「あ、起きた?」
「あんた…誰?」
「は……?」
寝起きの開口一番それですか?
まぁ、起きたら目の前に知らない人がいたらそりゃ、驚くか?
……知らない人?
「だから、誰?」
「昨日も今日もラブレター渡した望月環那ですけど!!!!」
え、嘘でしょ忘れてるの…!?
「うるさいそんなに大声じゃなくても聞こえる」
「覚えてろって言ったのになんで覚えてないの…!!!」
私の必死な顔をマジマジと見ると、少しずつ椎名くんの表情が変わってきた。
「あ……あぁ~……お前あの意味わかんねぇ女か?」
いや、そんな妙に納得した顔されてもね!?
「あのさ…」
「はい何でしょう!!」
「これのどこがラブレターなんだ?」
彼は、私の目の前に、私が今朝下駄箱に入れたラブレターを広げた。
そのラブレターには、大きく。
かなり大きく。
『大嫌い』と書いてある。