月が綺麗ですね。
fighting pose
私と椎名くんの戦いは、激化の一途を辿っていった。
1.朝早くから下駄箱で、待ち伏せ。
その場で告白。
『なんか、心が籠もってねぇな』
却下。
結構恥ずかしかったのに、バッサリだよバッサリ。
なんで私こんなヤツ好きなんだろ……自分でもわかんない。
2.体育館に呼び出し。
バスケのシュートが決まったら告白。
『下っ手くそ。貸せ、教えてやるよ』
気づいたらシュート上達してました。
『お前、結構筋いいな。こういうことに力を注いだ方がいいと思うぞ』
自分でもそう思いました。
――――「ねぇ、椎名くん」
「ん~?」
「昔、やってたの?…バスケ」
私の方なんか見ないで、綺麗なフォームでシュートする背中に疑問をぶつけた。
実はずっと聞きたかった。
あの時の寂しい背中の真相を。
興味本位で、相手の過去を知りたがっちゃいけないって、わかってる。
でも、それならそれで椎名くんは、はぐらかすって分かってたから、思い切って口に出してみた。
「まぁ、やってたな」
「そう、なんだ…」
意外にもあっさり答えてくれた。
「聞きたいことは、それだけか?」
「え、っと、あの、その……」
「俺帰るから、じゃあな」
「バイ、バイ…」
そんな簡単に踏み込ませてもらえるなんて、思っていない。
まだまだ道のりは遠いみたいだね…
よしっ、次の作戦練ろう。