月が綺麗ですね。
もしかしたら、この告白が椎名くんを更に傷つけてしまうのかもしれない。
でも、椎名くんが望むなら、話そう。
私があなたに恋した理由を。
「ごめん、あの、そもそものことから話すから、長くなるよ」
きっかけは、私でもあなたでもない。
チクリと、針のような鋭いものが、胸を刺した。
それが寂しさだと、本当は分かっている。
「あぁ、大丈夫だ。今日はもうここから動く気ねぇから」
「そっ、か…わかった」
生徒に見つかったら囲まれることは避けられないだろう。
しかも、たぶんさっきの写真が載せられたのはTwitter。
一瞬見たけど、かなりのRT数だった。
今日中には、全校に知れ渡りそう。
これからどうしようかと、少し頭が重いけど。
でも、大丈夫。
椎名くんだけ見ていれば、きっと揺らがない。
軽く息を吸った。
「私、10才の時に父親をガンで亡くしたの―――