月が綺麗ですね。
「瑠璃子っ、おはよ!」
「おはよう」
今日も、瑠璃子さまは私の方を見ない。
いつもどおりで絶好調。
「そう、聞いてよ!」
「はいはい、なぁに?」
瑠璃子はその声でやっとスマホから目を離す。
「私が告白した椎名朔、とんだサイテー野郎だったんだよ…!」
声高々に言ってやりたいところだけど、何となく出来なくて、小声になった。
「…椎名朔って、誰?」
「そこからですかい……」
「だって知らないもの」
「…えっと~、隣のクラスの男子。容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群とか言われて、かなり女子からモテてるんだけど、知らない?」
この紹介妙に恥ずかしい…
「……体育の授業、女子が真面目にやらずに男子の方ばっかり見てるのはそのせい?」
「そう!みんな椎名くんを見てるの!」
「へぇ~…知らなかった、ていうか、興味無かった」
「……うん、そんな気はしてた」
本当に絶好調だね。
「で?何がどうサイテーだったの?」
「あれ、珍しく食いつくね」
「悠介(ゆうすけ)からメッセ返ってこないから暇」
「あぁ、なるほど……」
悠介というのは、瑠璃子の彼氏。
「で?どんなフラレ方したの?」
「フラレたこと前提!?」
「あんたに彼氏が出来てたらもっと分かりやすく、惚気けるでしょ」
「よくお分かりで……実は、――――