シチリアーノは泡沫に
「……聞いてもらおうよ」

こぼれた僕の言葉に皐は少し驚いたようにこちらを見た。


「ここのお客さんたちに」

そうだ。
みんな退屈そうにしていたし、喜んで来てくれるんじゃないか。

食堂に集めて、小さいけれど演奏会みたいでいいだろう。


ね、と皐に向かって目で合図すると皐は笑って頷いた。


「五郎、全部準備してね」


まかしとけ!
僕、押し付けられるのに慣れてますから!

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