シチリアーノは泡沫に
「なにナンパなんかしてるのよ。今日からうちの手伝いに来たんでしょ?」


そうだ高2のこの夏、

「あんたが冷やし中華を食べる度にマヨネーズ使うからうちの家計は火の車よ!マヨネーズ高いんだからせめてマヨネーズ代くらい稼いできなさいよ」

という母の理不尽な押し付けのせいで、僕は親戚である美島家が営む海の家兼宿屋で、アルバイトをすることになったんだ。

その海の家兼宿屋“さつき荘”には、僕と同い年の皐という女の子がいると聞いた。


それが今僕の後ろにいる子だろうと思う。


僕の母方の祖父の従兄弟の息子のはとこの……
あれ?そこからさきどうだっけ。

そんなことを考えながらも振り返ると、今度こそ彼女の姿を見ることができた。

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