シチリアーノは泡沫に
終わりの予感
その日の夜は冷たい夜だった。

昼間の雨のせいか、夜風がだいぶ涼しい。

まるで海が悲しいため息を吐いているようだった。


ブルブルと床が揺れた。


……いや、床じゃない僕の携帯だ。


アラーム時刻を間違ったのかと思って眠い目もそのままに、枕元の携帯に手を伸ばす。

手探りで適当なボタンを押した。


「あ、もしもし五郎?」


「は?」


母さん!?


「あんた元気ー?」

「え、あ…はい」

ハツラツとした母の声につられて、電話を耳元に持っていった。

今何時だ……?

ぱっと携帯を離して画面を見ると午前二時だった。


「祐子たちに迷惑かけてないわよね、もちろん」

「かけてないって!」

続けられる母さんの声に反射的に答える。

というか迷惑って……

母さんの方が迷惑だ。
非常識にもほどがある!!
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