シチリアーノは泡沫に
その瞬間、頭の中が空白で埋め尽くされて呼吸が一瞬止まった。


彼女の肌は真っ白で、輪郭は途切れてしまいそうなほど儚く、濡れた黒曜石のような瞳と花弁のような唇が印象的で僕の視界を奪った。

彼女は空に溶けそうな淡いブルーの柔らかいワンピースを着ていて、天女のように美しかった。


ロマンチックのロの字も知らない僕が女性を天女に例えるほど、彼女は幽玄な雰囲気を持っていた。


彼女は何て言うか、


下界に馴染んでいないように見えた。
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