コクリバ 【完】
私が計画を説明すると、絢香は
「その手があったか……」
と、悔しがっている。

そんな絢香は他所に、ともちゃんに向けて聞いてみた、
「もしかして、私が一番乗りかな?」
でも、ともちゃんはただ笑っていた。

否定はしなかったけど、肯定もしなかった。

ということは……

「ともちゃん、もうしちゃったの?」
「奈々ちゃん、そんなダイレクトに聞かないでよ」

ともちゃんは、耳まで赤くして顔を隠す。

「えー?いつ?」

今度は私がうるさく叫ぶ番。

「なになに?聞いてなかった」
絢香が反応しなかったのは、自分の世界に入っていたかららしい。

そんな絢香は放って、ともちゃんに続けて聞く、
「やっぱり相手は菊池義人だよね?」

「何言ってんの?当たり前じゃん。何の話?」
一人出遅れた絢香が勝手に答える。

だから、
「ともちゃんが、しちゃったって話!」
ダイレクトに教えてあげた。

「え……」
絢香はそれだけ言うと固まっていた。
いろいろ話はするけどまだ中身は幼い私たち、ともちゃんの話は刺激が強すぎた。

落ち着いてきた私と絢香は、それからともちゃんを質問攻め。
3人とも口元を手で隠しながら話した。

菊池義人を小学生の頃から知っている私は、すごく違和感を感じる。

「一緒にお風呂も入った」
とも先生が教えてくれた。

私と絢香は後ろにぶっ倒れた。

そもそも男の人の前で裸になるなんて……
それだけで無理な気がした。

高木先輩の前で裸になるなんて、もう絶対ムリ!

私も違う方に思考がいき、一人で頬を熱くしていた。

それからも、とも先生のレッスンは続き、
その最中は声も出るらしく、セクシーな声の出し方の練習までした。

「…アン。アーン……こんな感じかな?」
「もっと切なげにだよ」



……今から考えると、全く無意味な練習だったと思う。
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