コクリバ 【完】
菊池雅人は目を見開いていたその直後、おもいっきり眉間にシワを寄せた。
「はぁ?…いつからだよ。つーか、なんでそうなった。セイヤ。緒方先輩の妹って知らなかったのか?」
「知ってた」
「ならなんでっ――」
菊池雅人の声が一瞬大きくなったあと、小さく鋭く吐き出された。
「――なんで、奈々なんだよ」
やっぱり反対されるんだ。私じゃ似合わないから……
「……じゃ、なんでダメなんだよ」
落ち込みそうになった私とは逆に、高木先輩は堂々としている。
「マジか…セイヤ…」
「緒方さんに言うなよ」
「言うかよ!俺が殺される」
二人の視線が同時に私に向いた。
意図しなかったこととはいえ、菊池雅人にバレてしまった。
「あの……ごめんなさい」
バラシてしまったことも、高木先輩と付き合ってることも、いろんな意味で謝った。
「おまえが謝ることじゃないだろ」
菊池雅人はまだ眉間のシワが取れていない。
「奈々。セイヤにひどいことされたら俺に言えよ」
「するかよ」
菊池雅人の向こう側で高木先輩は笑っていた。
「おまえ…だから今日ついてきたのか……」
呆れ顔の菊池雅人の向こうから高木先輩が顔を出した。
「奈々。俺、マサトんちでバイトするから」
「そうなんですか?菊池自動車で?」
「そう。マサトも一緒に。今日親父さんとこ挨拶行ってきた」
「いつからですか?」
「明日から」
そう言うと高木先輩は優しく左頬で笑うから、私もつられて笑顔になる。
「待て待て待て!俺を挟んでいちゃつくな。気持ち悪い!」
菊池雅人に邪魔された。
もっと先輩の顔を見ていたかったのに……
「いいか、セイヤ。この家には暗黙の約束事があるんだよ。
昔っから、誰も奈々に手を出しちゃいけないっていう。
それはな絶対の不可侵条約なんだよ。
こいつはみんなの妹みたいな……って、おい聞けよ!」
高木先輩が包丁を持って私の隣りに移動してきたから、菊池雅人の言葉は途中で終わった。
「あ?なんか言ったか?」
高木先輩は嬉しそうに私の隣りで笑っている。
「絶対智さんに言ってやる」
「お兄ちゃんには言わないで」
「いや、言う。マジでこいつに分からせてやる」
「言っちゃダメだって、お願い、まー君……」
そう言った瞬間、菊池雅人は驚き、高木先輩は「ぶっ」って吹きだした。
「はぁ?…いつからだよ。つーか、なんでそうなった。セイヤ。緒方先輩の妹って知らなかったのか?」
「知ってた」
「ならなんでっ――」
菊池雅人の声が一瞬大きくなったあと、小さく鋭く吐き出された。
「――なんで、奈々なんだよ」
やっぱり反対されるんだ。私じゃ似合わないから……
「……じゃ、なんでダメなんだよ」
落ち込みそうになった私とは逆に、高木先輩は堂々としている。
「マジか…セイヤ…」
「緒方さんに言うなよ」
「言うかよ!俺が殺される」
二人の視線が同時に私に向いた。
意図しなかったこととはいえ、菊池雅人にバレてしまった。
「あの……ごめんなさい」
バラシてしまったことも、高木先輩と付き合ってることも、いろんな意味で謝った。
「おまえが謝ることじゃないだろ」
菊池雅人はまだ眉間のシワが取れていない。
「奈々。セイヤにひどいことされたら俺に言えよ」
「するかよ」
菊池雅人の向こう側で高木先輩は笑っていた。
「おまえ…だから今日ついてきたのか……」
呆れ顔の菊池雅人の向こうから高木先輩が顔を出した。
「奈々。俺、マサトんちでバイトするから」
「そうなんですか?菊池自動車で?」
「そう。マサトも一緒に。今日親父さんとこ挨拶行ってきた」
「いつからですか?」
「明日から」
そう言うと高木先輩は優しく左頬で笑うから、私もつられて笑顔になる。
「待て待て待て!俺を挟んでいちゃつくな。気持ち悪い!」
菊池雅人に邪魔された。
もっと先輩の顔を見ていたかったのに……
「いいか、セイヤ。この家には暗黙の約束事があるんだよ。
昔っから、誰も奈々に手を出しちゃいけないっていう。
それはな絶対の不可侵条約なんだよ。
こいつはみんなの妹みたいな……って、おい聞けよ!」
高木先輩が包丁を持って私の隣りに移動してきたから、菊池雅人の言葉は途中で終わった。
「あ?なんか言ったか?」
高木先輩は嬉しそうに私の隣りで笑っている。
「絶対智さんに言ってやる」
「お兄ちゃんには言わないで」
「いや、言う。マジでこいつに分からせてやる」
「言っちゃダメだって、お願い、まー君……」
そう言った瞬間、菊池雅人は驚き、高木先輩は「ぶっ」って吹きだした。