コクリバ 【完】
「もらったのか?」
高木先輩が身体ごと私に向く。
だけどその手には包丁が握られていたから、私の顔はひきつった。
「セイヤ!おまえ包丁置け。いいから一旦包丁離せって」
菊池雅人が高木先輩の手から包丁を奪う。
高木先輩は一瞬で私との距離を詰めると、ペンダントを隠していた手を捩じりあげた。
「い、痛い……」
その手の力が異常に強くて、
「さっきまでなかっただろ。これどうしたんだよ」
怒っている先輩が怖くなった。
「セイヤ。落ち着けって。奈々がビビってるだろ」
菊池雅人も慌てている。
「奈々。それ中山さんにもらったのか?」
菊池雅人が心配そうに聞いてくるけど、答えられずに下を向いた。
それなのに高木先輩はアゴに手をかけ無理やり上を向かせる。
先輩の目が真っ直ぐに私を睨んでいる。
泣きそうだった。
この状況で「もらった」なんて絶対に言えない。
目だけを逸らしてこの沈黙をやり過ごそうとした。
高木先輩が身体ごと私に向く。
だけどその手には包丁が握られていたから、私の顔はひきつった。
「セイヤ!おまえ包丁置け。いいから一旦包丁離せって」
菊池雅人が高木先輩の手から包丁を奪う。
高木先輩は一瞬で私との距離を詰めると、ペンダントを隠していた手を捩じりあげた。
「い、痛い……」
その手の力が異常に強くて、
「さっきまでなかっただろ。これどうしたんだよ」
怒っている先輩が怖くなった。
「セイヤ。落ち着けって。奈々がビビってるだろ」
菊池雅人も慌てている。
「奈々。それ中山さんにもらったのか?」
菊池雅人が心配そうに聞いてくるけど、答えられずに下を向いた。
それなのに高木先輩はアゴに手をかけ無理やり上を向かせる。
先輩の目が真っ直ぐに私を睨んでいる。
泣きそうだった。
この状況で「もらった」なんて絶対に言えない。
目だけを逸らしてこの沈黙をやり過ごそうとした。