コクリバ 【完】
「ハートは大切だよ~」
「絢香が言うとなんかイヤらしい」
「奈々に言われたくない。今日イヤらしいことするくせに……」
「ばっ……」
慌てて絢香の口を塞ぎ、周りを見回した。
同時に小学生並みのこんなノリに二人で爆笑してしまった。
そうして夕方になる少し前、私たちは出発した駅まで戻ってきた。
先生が一番日焼けしていて、「何してたんですか?」と谷口副部長に言われていた。
だけど、私はそんな会話の輪には入れずにいた。
意識は既に、高木先輩と待ち合わせをしている駅裏の公園に飛んでいる。
ソワソワと落ち着かない私を、絢香は隣でニヤニヤと笑って見ている。
「では解散。最後まで気を付けて帰るように……」
先生が先生らしいことを今日初めて言って解散になった。
そして、
私の胸は最高潮の高鳴りに達していた。
付いて来るな、と言ったのに、絢香が付いてくる。
「だって高木先輩の私服見たいじゃん」
そんなミーハーなノリで
「オサムッチに言うよ」
「言わないで~」
でも、もし一人で先輩を待っていたら、心臓が破裂するんじゃないかと思うくらいドキドキして、挙動不審になっていたと思う。
絢香がそれを気遣って一緒にいてくれたとしたら、なんて素敵な親友だと思った。
「高木先輩どんな顔で来るのかな~」
ニヤニヤしている絢香。
そこまで考えてないか。
駅裏の公園は、建物の隙間にひっそりと存在しているだけあって、あまり陽が射さない所。
それでも夏の暑さは容赦なく、夕方だというのにまだ涼しくはならなかった。
「暑いね。何時に待ち合わせしてるの?」
「絢香。暑かったらもう帰っていいよ」
「帰るわけないじゃん……って、あれ、そうじゃない?」
絢香が公園の外の一点を見つめていた。
「絢香が言うとなんかイヤらしい」
「奈々に言われたくない。今日イヤらしいことするくせに……」
「ばっ……」
慌てて絢香の口を塞ぎ、周りを見回した。
同時に小学生並みのこんなノリに二人で爆笑してしまった。
そうして夕方になる少し前、私たちは出発した駅まで戻ってきた。
先生が一番日焼けしていて、「何してたんですか?」と谷口副部長に言われていた。
だけど、私はそんな会話の輪には入れずにいた。
意識は既に、高木先輩と待ち合わせをしている駅裏の公園に飛んでいる。
ソワソワと落ち着かない私を、絢香は隣でニヤニヤと笑って見ている。
「では解散。最後まで気を付けて帰るように……」
先生が先生らしいことを今日初めて言って解散になった。
そして、
私の胸は最高潮の高鳴りに達していた。
付いて来るな、と言ったのに、絢香が付いてくる。
「だって高木先輩の私服見たいじゃん」
そんなミーハーなノリで
「オサムッチに言うよ」
「言わないで~」
でも、もし一人で先輩を待っていたら、心臓が破裂するんじゃないかと思うくらいドキドキして、挙動不審になっていたと思う。
絢香がそれを気遣って一緒にいてくれたとしたら、なんて素敵な親友だと思った。
「高木先輩どんな顔で来るのかな~」
ニヤニヤしている絢香。
そこまで考えてないか。
駅裏の公園は、建物の隙間にひっそりと存在しているだけあって、あまり陽が射さない所。
それでも夏の暑さは容赦なく、夕方だというのにまだ涼しくはならなかった。
「暑いね。何時に待ち合わせしてるの?」
「絢香。暑かったらもう帰っていいよ」
「帰るわけないじゃん……って、あれ、そうじゃない?」
絢香が公園の外の一点を見つめていた。