コクリバ 【完】
私を抱く先輩の腕の力が強くなり、胸がドキドキ言い始めた。
ただ抱きしめられてるってだけで、どうしてこんなにテンパるんだろう。
「奈々……」
低い声が鼓膜を揺らす。
アゴを取られて上に向かされ、唇が触れると、もう何も考えられなくなってくる。
腰に回った先輩の手が優しい。
徐々に深くなるキス。
先輩の舌が私の口内を蹂躙し、更に私の舌も持っていかれる……
ついに始まった。
もう耳まで熱い。
しばらくキスしてゆっくりと離れていく先輩。
「奈々……」
私を呼ぶ声に全身の神経が働く。
「……」
「奈々。見過ぎ」
へ?と思ったその時にはもう既に先輩はベッドに座り込んでいた。
私は一人部屋の隅。
「おまえさ、キスするときは目閉じろ」
「えぇ?」
怒っているような言い方で、
「それから、力抜け!」
ダメだしされた。
こういう時、普通はどうしたらいいんだろう……
ともちゃんにもっと詳しく教えてもらっておけば良かった。
「来いよ」
先輩が片手を出して待っている。
また怒られるのではないかと躊躇していると、
「いいから来いって」
機嫌悪そうに呼ばれた。
仕方なくその手を取ると、
強引に引き寄せられて、先輩の膝の間に抱きしめられる格好でベッドに座らされた。
先輩が私の背中から腕を回して、私の両手を掴む。
「奈々…」
耳の後ろで優しく呼ぶから、なぜか泣きそうになった。
嬉しいとかよりも、怖いって感じで……
「…お前がイヤならこれ以上はしない。今日は一緒にいるだけでいい。
だからそんなに固まるな。俺が怖いか?」
ゆっくりと諭すように語りかけられたから、首を横にふった。
「じゃ、話せ。黙るな」
そう言えば、さっきからずっと喉の奥がくっついているような気がする。
「声を聴かせろ」
「…………あ……」
口から出たのはマヌケにもそんな音で……途端に先輩が笑い出した。
私の後頭部で笑うから、うなじに暖かい風が当たる。
ただ抱きしめられてるってだけで、どうしてこんなにテンパるんだろう。
「奈々……」
低い声が鼓膜を揺らす。
アゴを取られて上に向かされ、唇が触れると、もう何も考えられなくなってくる。
腰に回った先輩の手が優しい。
徐々に深くなるキス。
先輩の舌が私の口内を蹂躙し、更に私の舌も持っていかれる……
ついに始まった。
もう耳まで熱い。
しばらくキスしてゆっくりと離れていく先輩。
「奈々……」
私を呼ぶ声に全身の神経が働く。
「……」
「奈々。見過ぎ」
へ?と思ったその時にはもう既に先輩はベッドに座り込んでいた。
私は一人部屋の隅。
「おまえさ、キスするときは目閉じろ」
「えぇ?」
怒っているような言い方で、
「それから、力抜け!」
ダメだしされた。
こういう時、普通はどうしたらいいんだろう……
ともちゃんにもっと詳しく教えてもらっておけば良かった。
「来いよ」
先輩が片手を出して待っている。
また怒られるのではないかと躊躇していると、
「いいから来いって」
機嫌悪そうに呼ばれた。
仕方なくその手を取ると、
強引に引き寄せられて、先輩の膝の間に抱きしめられる格好でベッドに座らされた。
先輩が私の背中から腕を回して、私の両手を掴む。
「奈々…」
耳の後ろで優しく呼ぶから、なぜか泣きそうになった。
嬉しいとかよりも、怖いって感じで……
「…お前がイヤならこれ以上はしない。今日は一緒にいるだけでいい。
だからそんなに固まるな。俺が怖いか?」
ゆっくりと諭すように語りかけられたから、首を横にふった。
「じゃ、話せ。黙るな」
そう言えば、さっきからずっと喉の奥がくっついているような気がする。
「声を聴かせろ」
「…………あ……」
口から出たのはマヌケにもそんな音で……途端に先輩が笑い出した。
私の後頭部で笑うから、うなじに暖かい風が当たる。