コクリバ 【完】
始まってしまうと、もう身を任せるしかなく、ただただ先輩にしがみついていた記憶がある。

初めての感覚に戸惑って、恥ずかしくて、逃げ出したくなったのも事実。

高木先輩は、ひたすら優しくて、どうしたらいいのかを教えてくれた。

それは先輩の手順だったんだろうけど、初めての私は言われるままに動いた。
そうするしかなかったから……

ただ、終わった後に
「ごめんな」
と言われたのが気になった。

別に、無理やりされた訳ではない。

なのに「ごめんな」……

その言葉がとてもイヤだ。

私に「ごめんな」と言った時も、その後も、優しく抱きしめられていたから、嫌われてる訳ではないと思いたいけど……

怖くて、「どうして謝ったんですか?」なんて聞けなかった。
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