コクリバ 【完】
16歳の夏
高1の夏休み。
私は、大きく変わった。
見た目もだろうけど、考え方や、人付き合いや、行動範囲みたいなものも……
中学生だった頃とは、劇的に変化した。
夏休みに高木先輩が始めたアルバイト先は、幼なじみで家族ぐるみの付き合いのある菊池自動車だったから、私は毎日、菊池自動車を覗きに行っていた。
三日もすると、先輩から「もう来るな」と言われてしまった。
言われた時は諦めて、菊池自動車には近寄らなかったけど、翌日には会いたくてたまらなくなった。
だから……
「ともちゃん。今度、菊池義人とはいつデートするの?家にいったりする?私もついていっていい?」
強引に用事を作って、菊池自動車にお邪魔する日を決めた。
土曜日の夕方、ともちゃんと菊池自動車に行くと、なぜか先に兄が来ていて、菊池のおじちゃんとおばちゃんと事務所で笑っていた。
固まった私を見て、兄も驚いていた。
「何してんだ?」
「え?あの……ともちゃんの付き添い?」
「はぁ?奈々。それは、ただの邪魔者だろ」
兄が、納得いかないって顔で私を見ている。
その横で……
「初めまして。矢部友美です」
ともちゃんが菊池義人の両親に挨拶していた。
「まぁ。ようこそ、ようこそ」
手芸が好きで、人の好さがその笑顔から溢れ出ている菊池のおばちゃんが、満面の笑みで迎えている。
おばちゃんは、昔「女の子が欲しい」が、口癖だった。
私にも「うちの娘にならない?」と、何度も言っていたくらい。
ともちゃんが来ることは伝えてあったのだろう。
菊池家に嫁がやってきた!―――そんな雰囲気だ。
遅れて、照れくさそうに菊池義人が出てきた。
さりげなくともちゃんの横に立ち、二人は眼だけで会話して、それを菊池のおじちゃんとおばちゃんが、ニコニコと見守っている。
「ゆっくりしていくでしょう?バーベキューでもどう?」
おばちゃんが嬉しそうに言って気付いたけど、もうそんな段取りになっていたっぽい。
私が高木先輩に会いたくて巻き添えにしたともちゃんは、家族とバーベキューという、更に上のレベルへ簡単に上がっていった。
私は、大きく変わった。
見た目もだろうけど、考え方や、人付き合いや、行動範囲みたいなものも……
中学生だった頃とは、劇的に変化した。
夏休みに高木先輩が始めたアルバイト先は、幼なじみで家族ぐるみの付き合いのある菊池自動車だったから、私は毎日、菊池自動車を覗きに行っていた。
三日もすると、先輩から「もう来るな」と言われてしまった。
言われた時は諦めて、菊池自動車には近寄らなかったけど、翌日には会いたくてたまらなくなった。
だから……
「ともちゃん。今度、菊池義人とはいつデートするの?家にいったりする?私もついていっていい?」
強引に用事を作って、菊池自動車にお邪魔する日を決めた。
土曜日の夕方、ともちゃんと菊池自動車に行くと、なぜか先に兄が来ていて、菊池のおじちゃんとおばちゃんと事務所で笑っていた。
固まった私を見て、兄も驚いていた。
「何してんだ?」
「え?あの……ともちゃんの付き添い?」
「はぁ?奈々。それは、ただの邪魔者だろ」
兄が、納得いかないって顔で私を見ている。
その横で……
「初めまして。矢部友美です」
ともちゃんが菊池義人の両親に挨拶していた。
「まぁ。ようこそ、ようこそ」
手芸が好きで、人の好さがその笑顔から溢れ出ている菊池のおばちゃんが、満面の笑みで迎えている。
おばちゃんは、昔「女の子が欲しい」が、口癖だった。
私にも「うちの娘にならない?」と、何度も言っていたくらい。
ともちゃんが来ることは伝えてあったのだろう。
菊池家に嫁がやってきた!―――そんな雰囲気だ。
遅れて、照れくさそうに菊池義人が出てきた。
さりげなくともちゃんの横に立ち、二人は眼だけで会話して、それを菊池のおじちゃんとおばちゃんが、ニコニコと見守っている。
「ゆっくりしていくでしょう?バーベキューでもどう?」
おばちゃんが嬉しそうに言って気付いたけど、もうそんな段取りになっていたっぽい。
私が高木先輩に会いたくて巻き添えにしたともちゃんは、家族とバーベキューという、更に上のレベルへ簡単に上がっていった。