コクリバ 【完】
菊池家の納涼会のみなさんにお礼を言って、私たちは帰路についた。
ともちゃんと菊池義人が前を歩く。
その後ろに兄と私と、なぜか中山さん。
ともちゃんちとの分岐点で、サヨナラをすると、兄と中山さんの後ろを下を向きながらついて歩いた。
その途中―――
「俺、コンビニに寄ってくから、おまえら先に行っていいぞ」
兄がコンビニに寄った。
コンビニでそんなに長い買い物なんてしないだろう、と待つつもりでいた。
だけど……
「奈々ちゃん、行こうか」
と、中山さんに歩くのを促された。
コンビニの中に目をやると、兄は奥の方へ行っているのか、その姿が見えない。
「緒方もすぐに追いつくだろうから、歩いてよう」
と、背中を押され、
私の右足が前に出ると中山さんはそのまま歩き出した。
その歩調がゆっくりしたものだったから、兄もすぐに追いつくだろうと思ってついていった。
「本当はさ。今日はすぐに緒方んちに行く予定だったんだよ」
私の前をゆっくり歩きながら、中山さんが楽しそうに話し出した。
「はぁ……」
「そしたら菊池が、彼女を家に寄んだから、おまえらも来てくれって……だけど、俺らまで必要なかったよな。結構な人数いたよなー」
「そうですね」
「奈々ちゃん、全然食べてなかったでしょ?」
「え?食べてましたよ」
何気ない会話をしていた―――
―――この時に気付くべきだったと思う。
これまでの兄の過保護さからしたら、中山さんと二人で先に帰らせるなんて、到底ありえないのに……
兄はまだ追いつかない。
ともちゃんと菊池義人が前を歩く。
その後ろに兄と私と、なぜか中山さん。
ともちゃんちとの分岐点で、サヨナラをすると、兄と中山さんの後ろを下を向きながらついて歩いた。
その途中―――
「俺、コンビニに寄ってくから、おまえら先に行っていいぞ」
兄がコンビニに寄った。
コンビニでそんなに長い買い物なんてしないだろう、と待つつもりでいた。
だけど……
「奈々ちゃん、行こうか」
と、中山さんに歩くのを促された。
コンビニの中に目をやると、兄は奥の方へ行っているのか、その姿が見えない。
「緒方もすぐに追いつくだろうから、歩いてよう」
と、背中を押され、
私の右足が前に出ると中山さんはそのまま歩き出した。
その歩調がゆっくりしたものだったから、兄もすぐに追いつくだろうと思ってついていった。
「本当はさ。今日はすぐに緒方んちに行く予定だったんだよ」
私の前をゆっくり歩きながら、中山さんが楽しそうに話し出した。
「はぁ……」
「そしたら菊池が、彼女を家に寄んだから、おまえらも来てくれって……だけど、俺らまで必要なかったよな。結構な人数いたよなー」
「そうですね」
「奈々ちゃん、全然食べてなかったでしょ?」
「え?食べてましたよ」
何気ない会話をしていた―――
―――この時に気付くべきだったと思う。
これまでの兄の過保護さからしたら、中山さんと二人で先に帰らせるなんて、到底ありえないのに……
兄はまだ追いつかない。