コクリバ 【完】
ぞろぞろとプールサイドの更衣室から出てきたのは男子バスケ部員たち。

それまでファミリーやカップル主体の言わばレジャー的なプールが、いきなりゴツイ男子高校生の軍団20人くらいの登場で何だかよく分からないうちに鍛錬所みたいな雰囲気に変わってる。
プールにいるほとんどの人が男子高校生軍団を見ている。

後から、絢香が白状したことでは、
やっぱりこの日、男子バスケ部の練習がこのプールであることを知っていたそうだ。
体力強化という名目のもと、プールに遊びにくるのは毎年のことらしい。
一応それは極秘事項らしいけど、そういう情報ほどよく洩れる。

正直にともちゃんと私に言ったら「一人で行けば?」と言われるかもしれないから、絢香はただ「プールに行きたい」と誘ってきたのだと、幸せそうな顔で白状した。

そんな顔されたらともちゃんも私も何も言えず、こっそりオサムッチのところへ行く絢香を見送った。

「すっかり恋する乙女の顔だね」
「そうだね。絢香、綺麗になったね」
「ともちゃんは大人っぽくなった」
「そうかな?」
「うん。なんか、色気っていうか、セクシーって言うか、そんな感じ」
「自分じゃ分からない」
「さりげない仕草とかにね、そんな時があるよ」
「奈々ちゃんだって。そんな時あるよ」
「え?ないよ」
「ううん。ある。やっぱり前とは違う感じがする」

だとしたら、高木先輩の影響に違いない。
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