コクリバ 【完】
「なんなんだよ、おまえ。中山さんと二人きりで帰ってみたり、吉岡とイチャついたり。何がしたい?」
「……ぅくっ……」
「おまえは誰が好きなんだ?」
「わ、私は……った、たか、ぎ、せん……」
「聞こえねーよ!」
「た、高木先輩が好きです……」

喉が焼けるように痛かった。
ボトボトと落ちる涙を拭うこともできずに、唇をかみしめた。

先輩をここまで怒らせてしまったことが怖くて、自分の力ではどうしようもない震えが膝を襲っていた。

それでも信じてほしくて、真っ直ぐに高木先輩の目を見返すと、
先輩はやっと私から視線を逸らした。

「……吉岡のことは?」

高木先輩の声が小さくなった。

「吉岡とは、プールでたまたま一緒に泳いで、その後話をしてただけです。手とか繋いでません。友達に誘われて行ったら、バスケ部が来て……本当に知らなかったんです。吉岡とも何もありません。本当に普通の友達ってだけで……」

なんとか誤解を解こうと必死だった。

「おまえ……本当はまだ吉岡のこと……」
「違います。何とも思ってません。信じてください」
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