コクリバ 【完】
嘘
絢香が3年4組のドアを開けると、思っていたよりも大きな音が響いた。
その音のせいで中にいた数名の顔が一斉に私たち二人に向く。
3年の先輩たちはいるだけで、大人っぽいオーラが漂っている。
1年の教室とは全く違った雰囲気に一瞬来たことを後悔した。
「あれ?あの子、市原の……」
中にいた一人の男子生徒が、私に気付くと同時に
「二人ともどうしたの?」
その横から立ち上がったのは、爽やかな笑顔の市原先輩だった。
久しぶりに聞いた市原先輩の声はひと際穏やかな声で、
まるで何事もなかったかのように市原先輩は王子様的な微笑を湛えて歩いてくる。
何度も連絡したのに、電話もメールもたくさんしたのに、全て無視した市原先輩が、
「訪ねてくれてありがとう」とでも言いたげに、笑顔で歩いてくる。
下唇を噛んだ。
私がどれだけ辛い目に合ってるのか知らないんだ。
市原先輩は私たちを廊下に出すと、静かにドアを閉めた。
その瞬間「市原の彼女が迎えに来たぞ」という囃し立てる声と「なにあれ」という冷たい女の声が聞こえた。
その音のせいで中にいた数名の顔が一斉に私たち二人に向く。
3年の先輩たちはいるだけで、大人っぽいオーラが漂っている。
1年の教室とは全く違った雰囲気に一瞬来たことを後悔した。
「あれ?あの子、市原の……」
中にいた一人の男子生徒が、私に気付くと同時に
「二人ともどうしたの?」
その横から立ち上がったのは、爽やかな笑顔の市原先輩だった。
久しぶりに聞いた市原先輩の声はひと際穏やかな声で、
まるで何事もなかったかのように市原先輩は王子様的な微笑を湛えて歩いてくる。
何度も連絡したのに、電話もメールもたくさんしたのに、全て無視した市原先輩が、
「訪ねてくれてありがとう」とでも言いたげに、笑顔で歩いてくる。
下唇を噛んだ。
私がどれだけ辛い目に合ってるのか知らないんだ。
市原先輩は私たちを廊下に出すと、静かにドアを閉めた。
その瞬間「市原の彼女が迎えに来たぞ」という囃し立てる声と「なにあれ」という冷たい女の声が聞こえた。