コクリバ 【完】
学校の中で高木先輩を見かけることもなくなった。
窓から先に帰る3年生の中に先輩の姿はないし、菊池雅人は他の人と帰ってたりしてる。

学校に来ていないんじゃないかとすら思った。

市原先輩は、本当に高木先輩に言ってくれたのだろうか。

毎日そんなことばかり考えていた。

もうこれ以上待てない。

ガタリと音を鳴らして椅子から立ち上がると、驚いた顔の絢香に宣言した。

「私、菊池自動車に行ってくる」

「う、うん……え?なに?どこ?」

絢香は訳が分からないという感じで首をひねってるけど、「じゃ」と告げてカバンを掴んだ。

「奈々~。帰るの~?」

そんな絢香の声に片手で答えて、走って学校を出た。


高木先輩に会いたい。
もうなんでもいいから高木先輩と話したい。

風を受け、ただひたすら走った。

一秒でも早く高木先輩の声が聞きたい。
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