コクリバ 【完】
菊池自動車の中では相変わらず茶色のツナギ姿の人たちが、大きな音を立てながら作業していた。
入口の金網の端の方からキョロキョロと中を覗く私に気付く人は誰もいない。
高木先輩の姿が見えないから奥の作業場か、またお使いに行かされてるのかとしばらくそこで中の様子を窺っていた。
プ、プーというクラクションが背後から聞こえて振り返ると、山さんと呼ばれていた菊池自動車の従業員が小さい軽自動車を運転して戻ってきた。
「おう。女子高生。制服姿もいいなぁ」
私の横に止めた車の窓を全開にして、楽しそうに笑う山さん。
「こんにちは……」
「はい、こんにちは。俺に会いにきたのか?」
「いえ」
「なんだよ、そうハッキリ断るなって」
「……高木さんは?」
恐る恐る聞いたのに
「は?高木?おまえ、高木に会いに来たの?」
ものすごく不思議そうな顔で聞き返された。
「高木、もう辞めたんだけど……」
辞めた?
足元がぐらりと揺れた。
入口の金網の端の方からキョロキョロと中を覗く私に気付く人は誰もいない。
高木先輩の姿が見えないから奥の作業場か、またお使いに行かされてるのかとしばらくそこで中の様子を窺っていた。
プ、プーというクラクションが背後から聞こえて振り返ると、山さんと呼ばれていた菊池自動車の従業員が小さい軽自動車を運転して戻ってきた。
「おう。女子高生。制服姿もいいなぁ」
私の横に止めた車の窓を全開にして、楽しそうに笑う山さん。
「こんにちは……」
「はい、こんにちは。俺に会いにきたのか?」
「いえ」
「なんだよ、そうハッキリ断るなって」
「……高木さんは?」
恐る恐る聞いたのに
「は?高木?おまえ、高木に会いに来たの?」
ものすごく不思議そうな顔で聞き返された。
「高木、もう辞めたんだけど……」
辞めた?
足元がぐらりと揺れた。