コクリバ 【完】
「考えられるのは市原先輩が奈々ちゃんを好きで、高木先輩から奪おうとしてるとか……」
ともちゃんが眉間にシワを寄せながら、自信なさそうに言う。
「それは…」
ない。と言おうとしたら、
「ないない。市原先輩が奈々を…ってのはない」
それより大きな声で絢香が答えた。
確かにそうだけどね。
悩んでくれてもいいんじゃないだろうか?
「ふぅー、だよねー」
ともちゃんも納得したように、壁にもたれる。
「だいたい奈々の恋話に市原先輩や高木先輩って名前が出てくるのが信じられないのに……」
「うん」
二人が本心からそう思ってるという感じで呟くから、妙に居心地が悪い。
「手詰まりだ」
「うん」
「……」
3人の視線が部屋の至る所に散ったとき、階段を上がってくる足音がした。
ノック音に母だと思い「はあい」と気の抜けた返事をすると、カチャと開いたドアから顔を出したのは、兄だった。
「ただいま」
「あ、うん。おかえり…」
昨日、泣いてるところを見られた気まずさから、微妙な間があく。
ともちゃんが眉間にシワを寄せながら、自信なさそうに言う。
「それは…」
ない。と言おうとしたら、
「ないない。市原先輩が奈々を…ってのはない」
それより大きな声で絢香が答えた。
確かにそうだけどね。
悩んでくれてもいいんじゃないだろうか?
「ふぅー、だよねー」
ともちゃんも納得したように、壁にもたれる。
「だいたい奈々の恋話に市原先輩や高木先輩って名前が出てくるのが信じられないのに……」
「うん」
二人が本心からそう思ってるという感じで呟くから、妙に居心地が悪い。
「手詰まりだ」
「うん」
「……」
3人の視線が部屋の至る所に散ったとき、階段を上がってくる足音がした。
ノック音に母だと思い「はあい」と気の抜けた返事をすると、カチャと開いたドアから顔を出したのは、兄だった。
「ただいま」
「あ、うん。おかえり…」
昨日、泣いてるところを見られた気まずさから、微妙な間があく。