コクリバ 【完】
翌日から学校に行き始め、高木先輩と話す機会を持とうとしたけど、すぐに先輩の誕生日は過ぎ、冬休みに入ってしまった。

もう自力では先輩と話すのは無理なような気がする。

ともちゃん経由で、菊池義人に言ってもらおうかと考えたけど、菊池雅人に言われたあの言葉が忘れられずに、菊池兄弟経由での呼び出しは踏み込めずにいた。

お正月になり、やたらと私のことを気に掛ける兄のせいで体重が増えた。
シュークリーム以外にもそのスイーツ店のケーキは美味しくて、体重増加が気になるけど拒否できなかった。


1月3日、毎年恒例のバスケ部のOB会がある日。

前の日から準備でソワソワしていた兄を、玄関で見送った。

「おまえも見に来るか?」
「うーん」

実を言うと悩んでいた。

兄のバスケ姿を…と言うより、高木先輩がバスケをしている姿を久しぶりに見られるかも。という期待感と、もし先輩がOB会も休んでいたらどうしよう…という怖さがあり、決められずにいた。

兄は妹に見に来てほしそうだったけど

「ううん。どうせ行ってもいっぱいギャラリーいるだろうから、見れないし。おとなしく家にいる」
「あぁ、そうだな。一回帰って夜はまた出るから、母さんにそう言っててくれ」
「うん」

午前中、OB会でバスケをした後、夜は打ち上げというのが毎年のパターン。

その打ち上げの時は兄は遅くまで帰ってこない、そして決まって次の日は辛そうにしている。

お酒の何が楽しいのか理解できなかったけどこの日を楽しみにしている兄を羨ましくも思いながら見送った。
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